グッと手を握り締めて自分に言い訊かせる。
「お洗濯、しなくちゃ。」
妹の着替えを洗う。
》 》
妹は、病弱だった。未熟児でこの世に生まれてきた為かすぐに風邪を引いたり高熱を出したりしていた。
母親は、いつも〝健康に産めなかった〟ことを申し訳ないと思っていたようだ。最優先事項は、〝妹〟だった。
私は、付属品か何かだったんだろう。初めは、何も疑問に思わなかった。
でも、幾つか目の不平等を受け寂しく悲しいことなのだと知ってしまった。
《 《
「月依ちゃん。」
「秋山先生。瑠々どうですか?」
多目的ルームで本を読んでいると妹の主治医が声を掛けてきた。
「うん。だいぶ落ち着いたよ。」
「そうですか。お母さん疲れてないかな・・・。」
本にしおりを挟んで閉じる。
「ねぇ、月依ちゃん。」
「なんですか?」
「もっとわがまま言っていいんだよ。」
心底驚いた。そんなこと言われたことも考えたこともなかった。
「なに?そんなに驚くこと言ったかな?」
「いい、え・・・」
何故か胸の奥がチクリと痛んだ。
