別の書類が騒ぐ男の前に置かれた。


「若狭･･･。」


　噂話の張本人が居た。


「データ、出来てるんでしょう。早くちょうだい。」


「いや、まだ･･･」


「仕事もしないで私たちの噂話してたの？」


「ごめん･･･すぐやるから。」


「宜しくね。私１５時から用事で居ないから早くね。」


　慌てふためく男に告げてにっこり笑って席に戻る。


「（ありがとう。）」


「（いいえ。）」


　アイコンタクトで相手に返す。


　》　》


　職場でも居場所を残さないといけなかったから嫌味も噂も軽く受け流せる人物を演じなければならなかった。
　ストレスは、溜まる一方。そして渇望も･･･。

　お酒で眠りについても･･･すぐに目が覚める。
　結婚式が私をより蝕んでいく。


　《　《


「席順、決まったのね？」


　仲良くテーブルセッティングを考えてる２人に声をかけた。


「お姉ちゃん･･･」


「あぁ。ごめんね、邪魔だったわね。」


「いいの。用事？」


「ブーケをカタログから選んで。」


「解った。」


「私、先に帰るから。２人も明日なんだからちゃんと早く帰って休むのよ。」