「解った。結婚式が終わったら除籍する。」


 それが長年苦痛に苛まれた故に選んだことだった。


「好きにしなさい。」


 止めてもくれない両親に本当に愛想が尽きた。


「明日、13時から式場でリハーサルと両家の顔合わせだから遅れないで。」


 それだけ告げて玄関に向かう。


「お姉ちゃん。」


「もうすぐ他人になるわ。」


「ごめんなさい。」


「謝ったって許されないことがこの世にはあるって解ったでしょう。これで名実共にあなただけのお父さんとお母さんよ。」


 パンプスに足を入れて振り向きもせずに家を出て行く。


「月依!!」


 月が煌々と雪道を照らしていた。振り向いたら泣いてしまう。


「悠葵のばーか。瑠々を倖せにしないと許さないよ。」


「月依。ごめん・・・。」


「私を不幸にするんだから倖せにならないと許さないから。」


「月依・・・・・・」


 後ろから抱き締める。


「大っ嫌い・・・・・・。」


「うん。」


「馬鹿。嫌いなんだから。」


 時間が止まればいい・・・と思える瞬間だった。


 》 》


 本当に愛していた。
 愚かしい程に。