ドレスルームに案内され月依が見せられたのとは明らかにデザインの違うドレスたちが目の前に並ぶ。
「どれにしようか。」
ドレスを手に取り選ぶ。
「普通でいいよ。」
この状況を早く終わらせたい妹は、乗る気でない返事をする。
「ダメよ。一生に1度なんだからちゃんと自分が気に入ったドレスを着て結婚式挙げなくちゃ。将来子どもに〝伯母さんの婚約者寝取って無理矢理結婚式挙げさせられたの〟なんて話すの?可哀想。」
「お姉ちゃん・・・。」
サラリと毒を吐かれるが何も言い返せない。
「ほら、真剣に選んで。子どもにちゃんと明るい楽しい思い出として話せるように。」
「うん・・・。」
居心地が悪かったが姉を無視して楽しい愛する人との結婚式を想像して綺麗で可愛く見えるドレスを探し始めた。プランナーは、特に口出しなどしてこなかった。否、口出しなど恐ろしい状況下で出来なかったのかもしれない。
》 》
式場関係者は、私の行動の意味が理解できなかったと後で打ち明けてくれた。
式をドタキャンするカップルは珍しくないが寝取った相手の結婚式を頼みに来る人など見たことがないと言う。
