「ダメよ。ちゃんとして。」
抑揚を無くした感情のない声音で2人に言う。
「でも・・・」
「結婚式、するわよね?」
「「っ!!」」
強く言われ2人で断ろうと相手を見た瞬間に“言うことを訊かないと”と思った。
たった1日で病的に窶(ヤツ)れた彼女の瞳が狂気を孕んだ色を宿していたからだ。
「瑠々、結婚式・・・挙げよう。
(ごめん。もう、月依を止められない。)」
手を握り心の中で謝る。
「うん。
(解ってます。赤ちゃんに何かされたら怖いもの。)」
2人は、目を見つめお互いの意思を確認した。
「そうと決まれば善は急げよ。
悠葵、私たちの指輪を売って今すぐエンゲージとマリッジリングを買って来て!瑠々は、私とドレス選ぶわよ。」
「「解った。」」
2人は、もう抵抗なんてしなかった。報復に赤ちゃんを狙われたら・・・と考えたからだ。
2人の意思など初めから汲み取る気などなかったが自分の顔色を伺って行動する姿が滑稽(コッケイ)で少し心がスッとする感覚が月依には、あった。
「最近は、授かり婚が多くなっておりましてマタニティードレスも充実してます。」
