「瑠々、熱があってお母さんがいつもの病院に連れて行くって。」


「そうか。瑠々の熱は、そんなに高いのか?」


「たぶん・・・。」


「〝たぶん〟ってなんだ。お姉ちゃんだろう。お母さんを助けて妹の具合の程度くらい把握していなさい。」


「ごめんさい・・・。」


「お母さんに代わって。」


「はい。」


 準備をする母親の元へ子機を持ち走る。


「お母さん。お父さんが代わってて。」


「解った。月依は、あの子の傍にいて。」


「はい。」


 ドアを閉めて妹のいるリビングに戻る。


「瑠々~」


 小さな身体で妹を抱いてソファーに寝かせる。


「汗かいたね。お母さんお電話だからお姉ちゃんとお着替えしようね。」


 高熱の為か妹はグッタリしていた。


「大丈夫だよ。お母さんが病院に連れて行ってくれるからね。」


 泣き声さえなくなった。


「お母さん。タクシー来たよ。」


「瑠々を乗せて。」


「はーい。」


 着替えをさせた妹を抱いて玄関を出る。
 すでにタクシーが家の前で待っていた。抱いた妹の体温が伝わってくる。