「いいの。あんまりいい思い出がないから振り返らないようにしてただけ。訊いてくれてありがとう。」
「今度、俺の家族に逢ってくれない?」
肩を抱きサラリと告げる。
「それって。」
「月依。もう2年になる。結婚を前提にこれからは付き合ってくれないか?」
思ってもみなかった突然のプロポーズに固まってしまう。
「月依?ダメ?」
「ううん。嬉しい!」
感情が昂ぶり抱きついた。
「式場探そう。仕事に支障ないように計画を念入りに練らないと。」
「そうね。」
一番の理解者の愛に溺れる。
》 》
3年目のクリスマスイブに式場を予約した。彼の家族は、私の求めていた理想の家族。
その一員になれることが何よりも嬉しかった。しかし私は、彼の家族への思いを見くびっていた。
式に私の家族を呼びたかったようで知らぬうちに接触を繰り返していたのだった。
《 《
「どう?」
休日を合わせてドレスとタキシードを選ぶ。
「綺麗だよ。でも目移りしちゃうな。」
「早く決めて。披露宴のドレスも選ばなきゃいけないんだから。」
