《 《
「鈴村課長。1番に外線です。」
「ああ。」
慌ただしく席に座りボタンを押す。
「お待たせ致しました、鈴村です。」
「突然会社に電話してしまってすみません。千明と言います。」
「〝千明〟・・・?社長じゃ・・・ないですね。声が若い。」
「先日、バーでお逢いしましたよね。」
「ああ。君、千明社長の・・・」
「はい、恥ずかしながら息子です。」
「そうか、そうか。」
「どうしましたか?」
「いや、前に千明社長が月依に逢いに来ていたから。担当は、俺だったから変だなぁとは気になってて。月依に訊いても〝個人的に用事だった〟ってはぐらかしてたからさ。
なるほど、君との関係にわざわざ釘を刺しに来ていた訳か・・・。」
コウム
彼女の被 った精神的苦痛を思って青年は、ため息が出そうだった。
「実は、折り入ってお話しがあります。」
「うん。なんだい?」
「電話では、なんなので明日、10時に会社のラウンジで逢いませんか?」
「ああ、いいけど・・・」
「〝千明と約束だ〟と言って頂いて構いませんので。」
