苦しんでいる時に現れた主治医に悪態をつく。
「それだけ言えるなら元気だね。」
背中をさすりながらサラリと嫌味を返す。
「うる、んっ・・・」
エンゲ
「(嚥下障害が強くなってきたな。)」
背中をさすりながら患者の状態を把握する。
「先生、暇なの?」
「まさか。大忙しだ。」
「の割りには良く来るけど・・・ああ、もうそろそろ危ないから何回も見回ってくれてるの?」
「全く君は、口の減らない患者だな。」
「病気になると良いこともあるわね。」
「なんだい?」
「人の心が読めるようになるのよ。」
クスリと笑って答えると傷付いた表情を向ける主治医がいた。
「先生・・・」
返事をしてくれないので顔をそらす。
「先生・・・あのね。全ての人を救うなんて無理だわ・・・。私を見て。まだ、先生に宣告された期限までだいぶあるのに…1人ではもう、立ってどこへも行けやしない。自分1人で歩いて来たのに歩けもしないの。解る?期限が迫っているの。先生の気持ち痛いほど解る。」
涙が握り締める手の甲にポツリと落ちる。
