雪の日に祝福を…。

  


 一気に心因性の目眩に襲われる。


「若狭さん!!」


 床に座り込んだので看護師が慌ててやって来る。


「大丈夫、です。」


 気持ちが心を蝕む。


「お部屋に戻りましょう。」


 車いすに軽々と乗せられて病室に向かう。


 》 》


 頑張ったって無理なのだ。
 だから受け入れなくてはならない。

 頭では解っているのに・・・・・・。
 心が返事をしない。

 ジタバタする場合じゃない。
 解っている。

 今更求めても無理なのは・・・解っている。それでも求めてしまう。

 〝愛〟が・・・・・・〝愛が、欲しい〟

 無い物ねだりな人生がもうすぐ終わる。

 私の愛は・・・・・・


 《 《


 面会時間が終わる少し前に産婦人科病棟を訪れた。


「あの・・・鈴村 瑠々の姉です。」


「ああ、お姉さん。逢いにいらしたんですね。」


「はい・・・。抱いてもいいですか?」


「もちろんです。」


「ありがとう。」


 新生児室に入るとミルクの匂いがした。


「どうぞ。」


 小さい子がやって来た。


「まだ、名前が決まってないんです。」


「そう、ですか。」