雪の日に祝福を…。

  


 意志の強い母親の表情に安堵した。


「じゃあ、またね。」


「はい。」


 先に屋上を後にする女性の背中を見つめる。

 何度も願った。彼女の娘になりたいと・・・・・・。
 今は、遠くから見るだけの人になってしまった。


「あそこまでは、遠いなぁ・・・・・・。」


 折角逢えたのに嘘をつくしかない。例え、本当のことを話したとしても本当の母親でも何でもない。
 元婚約者の母親で妹の義母。
 戸籍を独りにした自分には全く関係ない人。今更願っても仕方ない。

 元気をなくし病室に戻った。


 》 》


 飢えた心は、蝕まれて荒んでいく。
 見えた希望も私を手放した。

 寒くもない、寂しくもない。
 それは、嘘だ。鈍感になってもいない。

 まら、〝どうしたのか”って?

 気づかず、振り向かないだけ。忘れたふりは心を自分を守る盾。
 嘘と言う盾で守らないと。


 私の真実に私が触れないのだから誰も触れてくれない。


 《 《


「これが今回のCTの結果。前回のモノと比べます。」


 診断を受けた時の画像と比べる。


「明らかに腫瘍が大きくなってます。」