雪の日に祝福を…。

  


 逢えない時間が私を蝕んでもあなたに逢わない。


 《 《


「皆さん、栄えある受賞作品は。」


 心ここにあらずで2人は、発表の会場に居た。挨拶を交わしただけで2人とも何も言わない。


「最優秀作品賞は、村雨 燵夜さんの〝我が家〟です。おめでとうございます!!」


 スポットライトが彼に当たる。


「お兄さん!あんただよ。」


「村雨さん。おめでとうございます。ステージにどうぞ。」


「え、あ、はい。」


 慌ててステージに向かう。


「村雨さん初めてのコンクールでの受賞ですがどうですか?」


「嬉しいです。支えてくれた方たちにお礼を言いたいと思います。」


 その姿をボーッと見つめていた。


「では、絵の話しを訊きましょう。」


 インタビューが始まり離れることにした。

 キラキラ輝く彼を遠くに感じた。あの騒ぎが一段落したら言わなくてはならない。


『若狭さん。落ち着いて訊いて下さい。』


『はい。』


『脳幹と言う所に腫瘍があります。手術をする方法はありますが恐らく上手くはいかないでしょう。今後話し合いをしましょう。』