雪の日に祝福を…。

  


「はい。」


 今日は、ローヒールを履いているのに足下がふわふわして線を踏めない。


「ゆっくり、慎重に。」


 指示通り歩くがふらつく。


「あっ!!」


「もう、結構ですよ。座りましょう。」


 医師に支えられて転ばなかった。


「はい・・・
(なんで?こんな線の上を歩くなんて簡単でしょ、月依。)」


 自分の行動に戸惑う。


「いま、歩いていて目眩はありましたか?」


「・・・。」


「若狭さん?」


「はい。」


「歩いていて目眩がありましたか?」


 答えたくなかった。


「若狭さん、素直に答えて下さい。」


「あり、ました・・・・・・」


「解りました。では、問診もしましたし検査結果をお伝えします。」


「はい。」


 心臓が早鐘のようだった。


 》 》


 何も要らなかった・・・あなたが居たら。

 それくらい想いが強くなっていたのに。あなたの愛を受け入れることが出来る心になったのに。
 なんて意地悪な神様。
 あなたもそう思っていたでしょう?

 いまは、少しだけ落ち着いた。

 あなたはどうしているだろう。