初めこそああいう発言にギョッとしていたが、同居して二週間も経てばそれも少しずつ慣れてきた。
私の予想は、きっと小説家の卵といった感じだろう。
いや、一度は雑誌に載ったけど以降は売れない小説家だったりして……。
だちらにしても、夢を追いかけるのは本人の自由だし他人が口出すことではないが、小説家一本で生きて行こうだなんて不安定だ。
あぁやって一日部屋に閉じこもっているのも不健康だし。
ただ、姉弟のように育った私としては暁の行く末が心配ではあるが口出しもしにくいというのは本音ではある。
「お前、この前飲んだ時は一言もそんな話していなかっただろ。いつから一緒に住んでいるんだよ?」
仲間はずれが面白くないのか、笹本はムッとしたような表情をしている。
笹本と最後に飲んだのは半月以上も前なのだから知らなくて当然だ。
暁が来たのは……。
「二週間前。しかも突然」
「あの一軒家にか?」
一度、笹本は香苗とウチに飲みに来たことがある。その家を思い出しているのだろう。
黙って頷くと「マジかよ」と渋い顔をされた。



