「これはいずれわかるよ」
「は?」
「これだけは言うけど、俺は本当に小説家だ。ただペンネームや本のタイトルはいずれわかるから教えない」
「何それ」

つまり暁は夢見るニートではなく実際に小説家として本を出版しているということだ。
でもペンネームや本のタイトルを秘密にされては、暁がどんな本を書いているのかわからないではないか。

「教えてよ」
「近いうちにわかる」
「どういうこと、それ」

食い下がるが、結局それ以上は教えようとしてくれなかった。
むうと拗ねたように口をとがらせていると、暁が体を起こして私の肩を引き寄せた。

「えっ、暁?」

そのままギュッと抱き締めてくる。暁の身体から熱が伝わり、一気に心拍数が上がる。
顔が暁の広い胸に押し付けられた。

「それと、俺がこんなことする理由だけど」

耳元でささやかれる低くて甘い声に背中がゾクッとして身体が震えた。