縁側で恋を始めましょう



「弟ね」

頭の上で暁の不機嫌そうな低い声が聞こえた。
どうしたのかと顔を上げようとするが、眠気が勝り、心地よく感じるその胸に頭を乗せてウトウトする。
やはり長く一緒に育ったぶん、安心感が違うのだろうか。
しかし、聞こえてくる暁の声は冷たい。

「弟のように思っているから、そんなことが出来るの?」
「んー? 何か言った―?」

トロンした目を暁に向けたと同時に、素早い動きで身体を持ち上げられてしまった。
その行動に、いままで眠気が強かったのが嘘のようにハッとして覚醒する。

「ひゃぁ! ちょっ、何するの!」

いわゆるお姫様抱っこ状態でリビングに連れて来られる。
驚いてバタバタと腕の中で暴れるが、暁はものともせずやや乱暴にソファーに下ろされた。

「な、なに」

突然の行動に驚いて身体を起こそうとするが、私の上から暁に両手首を掴まれる。
あっという間に頭の上で簡単にまとめられ、唖然とした。