縁側で恋を始めましょう


引き戸の扉が開くと、目の前には暁が立っていた。

「お帰り」

ニコリともせずに、無表情で出迎える。

「あー、暁―、ただいまー。よくわかったねー、エスパー?」
「タクシーが横付けされるのが見えたの」

暁の方から出迎えてくれて嬉しくなり、ただいまと敬礼をすると「とりあえず入って」と玄関内に促される。

「君が同居中の幼馴染?」

笹本が営業用の爽やかな笑顔で尋ねる。
あぁ、そうか。話はしたけど二人が会うのはこれが初めてだった。

「そう、この人が―、暁。で、暁―、この人が同期の笹本―」

ふらついていたため笹本の肩に腕を回しながら紹介すると、お互いが軽く会釈をしている。

「笹本さん、ご迷惑をおかけしました。飲み過ぎだ、紗希」

そう言って、暁は私の腕を取り自分の方に引き寄せた。はずみでその胸に飛び込む形になった。