縁側で恋を始めましょう



なにそれ、そこ? と思うが笹本は真剣な顔をしている。

「え?」
「俺さ、前にも言ったけど……その暁ってやつ男だろ?」
「え、うん」
「いくら姉弟のように育ったとはいえ、ただの幼馴染の家に転がり込むか?」

笹本は『ただの』をやたら強調して言う。

「でも、もともとはあそこは暁のおばあちゃんの家だし……。慣れた場所だからっていうのもあるんじゃない?」

そう返すが、笹本は煮え切らないような納得いかないような表情をしている。
もう、なんなんだ、とビールを飲み干す。
暁のことで悶々とするし、笹本は笹本でなんだかよく分かりにくいことをグチグチと繰り返して話しているし。
せっかくの飲み会なのに、なんだかすっきりしない気持ちが大きくなる。
払拭するように自然とお酒を飲むペースが上がっていき、気が付けば、足取りがおぼつかなくなっていた。