「それ、暁にも言われた」
思い出してそう言うと、笹本がおつまみに手を伸ばしながら聞いてきた。
「暁って、同居しているっていう幼馴染のか?」
「うん、そう。三つ年下で、弟みたいな可愛いやつ」
家同士の仲が良く、お互い一人っ子だったから自然と姉弟のように育っていた。
「弟みたいって……。でも他人だろ? 平気なのかよ」
「何が?」
「何がって、危機感ない女だな」
笹本が呆れたようにため息をつく。意味が分からずに首を傾げた。
暁相手に何をどう危機感を持つというのか。
香苗をチラッと見るが、香苗はニヤリと笑って空揚げを口に運んでいる。



