非難めいたその眼がハッとしたように大きく開かれた。
そして、ほとんど手つかずの朝食をそのままに、男は急いで二階へと駆け上がっていった。

その姿を見送り、私は残りの朝食を平らげて流しへ置く。
洗面所で歯を磨き、口紅を付け、セミロングの髪を後ろでひとつに縛った。
そうして出勤の準備を済ませると、階段の下から二階へと声をかけた。

「暁(あきら)ー。私もう行くねー」
「んー」

生返事が聞こえたがいつものことと、靴を履いて家を出る。
一軒家の家の門を出て二階を見上げると、窓の側で一心不乱に机のパソコンに向かう暁の横顔が見えた。