会社の最寄り駅近くにある居酒屋は、よく飲みに行く行きつけだ。
顔見知りのバイトのお兄さんに案内されて席へ行くと、笹本がこちらに気が付く。前に座っていた香苗が振り向いて軽く手を上げた。
「お疲れ」
「お疲れー」
香苗の隣に座るとタイミングよくビールが運ばれてきた。
グラスに滴が垂れ、思わず喉が鳴る。
「ちょうど来る頃かと思って頼んでおいた」
「さっすが笹本。気が利くね」
軽く乾杯をしてビールを飲む。良く冷えた生ビールはやっぱりおいしい。
缶ビールには缶ビールの良さがあるけれど、こうして外で飲む生ビールはまた一段とおいしかった。
「あー、生き返る」
「おっさんみたいなこと言うなよ。女子だろ女子」
「無理よ、この子にそんなこと言っても」
香苗が苦笑するが、それにあっとグラスを置く。



