縁側で恋を始めましょう



「そういえば話変わるけど」

そう前置きしてこちらを見た。

「紗希は、子どもの頃のキャンプの事覚えている?」
「キャンプ?」

急に昔の話を振られ、眉を潜める。なんだって急に昔の話なんか?
やや戸惑いながらも記憶を掘り起こす。

「あぁ、町内会の?」

暁とのキャンプの思い出と言えば、小学生の頃に町内会で行ったキャンプしかない。
あれがどうしたのだろうか。

「あの時の事覚えている?」
「あの時の事って?」

なにかあっただろうか。そもそもそんな昔のことあまり覚えていない。
私が首をひねっていると暁は「覚えてないか」とやや寂しげに呟いた。

「ご、ごめん。あれがどうしたの?」

なにかまずかったのかと思い、慌てて謝ると暁は「いいんだ」と首を振る。

「たいした事じゃないから」