「どうして……」
なんで暁がここに?
いつ海外から帰ってきたの?
どうしてここに居るの?
連絡を拒否したいほど、私が嫌いになったんじゃないの?
聞きたいことが頭にあふれるのに声にならない。
ただ唖然と暁を見つめていると、暁は私ではなく、目の前の笹本をきつく睨んだ。
「まじかよ、タイミング悪すぎだろう」
笹本は忌々し気に舌打ちをする。
「紗希が嫌がっていましたので」
「うるせぇな。……ったく」
笹本は悔しそうな表情で頭をワシワシとかき、大きなため息をついた後に私を見た。
「笹本、ごめ……」
「謝んなよ、わかっているから。頼むから謝るな」
私を見ずにそう言い、暁を一瞥してから来た道を歩いて戻って行った。



