もしも羽があったなら・・・




「日曜の夕方に迎えに来るからね。

詳しい時間はまた連絡するから」


太一の家の前に着いて車を停めた

お父さんが後部座席を振り返って言った。


車の音が聞こえたのか

佐久間家からおじさんとおばさんが出て来てる。


「うん、ありがとう。

あ、おばさんが窓開けてって言ってるみたい」


私と目が合ったおばさんが

運転席の窓を指さしたから伝えた。


お父さんは再び前を向いて窓を開けた。


「村上さん、太一がお世話になって・・・」


おばさん、すごく申し訳なさそうな顔してる。


でも、太一のことは叱らないであげて欲しい。


もう十分私が叱っちゃったから。


「いえいえ。

僕も太一に久しぶりに会えて嬉しかったから

気にしないで」


お父さんの言葉は魔法の言葉。


おばさんの顔がすぐに優しくなった。