「うん、最高だった。
和希も悠希も優しくて、
和希のお父さんお母さんも良い人だった」
かみしめてるかのような言い方。
私にとってもだけど太一にとっても
温かい家庭は夢だから。
太一の家庭が決して温かくない訳じゃない。
おじさんもおばさんもすごく良い人。
だけど、太一には下に弟と妹が4人いる。
だから、太一にあまり手をかけてもらえない。
「また行きたいな」
太一がひとり言のようにつぶやいた。
「次はちゃんと学校休みの時にしなね」
「うん」
“へへ”と首に手を当てている。
昨日今日でたくさん反省したね。
根は真面目な太一だから、
学校をさぼるなんてあり得ないと思ってた。
でもそれをしたってことは
気持ち的によっぽど追い詰められていたんだよね。



