「おじさん、本当にありがとう」
「いや、おじさんは大丈夫だよ。
美羽から太一が来てるって聞いた時には
腰抜かすくらいびっくりしたけどね」
後部座席で並んで座ってる太一は
運転席のお父さんと仲良く話してる。
太一、昔からお父さんに懐いてたもんね。
小さい頃は“僕もおじさんの子になりたい”
なんて言ってた時もあった。
「そういえば、美羽」
「ん?」
ずっと窓の外を見ていた私は
やっと太一の顔を見た。
「悠希が美羽にまた会いたいって言っといて
って言ってたよ」
「そっか。佐藤くんちは居心地良かった?」
そんなこと、きかなくても分かってる。
でも、お父さんの前で太一と何を話して
良いのかよく分からない。
3月まではこんなことなかったのに。