もしも羽があったなら・・・




「今日、太一が学校に来たの」


予想してた通り、お父さんの目は

ものすごく大きく見開かれた。


「太一って、あの佐久間さんとこの?」


「うん。ちょっと前に電話して

会いたいって言われてたんだけど

ゴールデンウィーク終わる頃だったし

しばらくは無理だよねってなってたんだ」


でも、太一は来た。


太一の家だって決して甘くはない。


学校をさぼってまで来るには

それなりの覚悟が必要だったはず。


「今日は友達の彼氏の家に泊めてもらってる」


「そっか・・・びっくりした」


お父さん、正直だね。


びっくりして当然だよ。


「明日には太一を向こうに帰るように

説得しなきゃなんだけど

私、全然太一と話せてなくて・・・。

私に会いに来てくれたのに

このまま帰して大丈夫なのかな」


香苗ちゃんにも言ってない私の本音。


何故かお父さんにはすんなり言える。