もしも羽があったなら・・・




「太一、帰ってからまた連絡するから。

電話は無理だと思うけど・・・」


「うん。俺こそ急に来てごめん。

待ってる間に少し頭冷やせた」


バツが悪そうに首筋に手を当ててる太一。


反省してる時にする太一の癖だ。


「もう良いよ。

家じゃなくて学校に来てくれて良かったし。

じゃあ、もう電車来るから後でね」


太一が手を振るのを確認してから電車に乗り込む。


さすがに今日は翼先輩と一緒に駅まで来なかった。


先輩なりに気を遣ってくれたんだと思う。


「美羽ちゃん、お疲れさま」


「あ、お疲れさまです」


ドアのすぐ近くの手すりにつかまって立ってると

思ったより近くにいた先輩に声をかけられた。


「お昼の子、大丈夫?」


「はい。今日は佐藤くんの家に泊めて

もらえることになりました」


「そっか」


先輩、元気ない。


いつもならもっと私を元気づけようと

色々話してくれるのに。