もしも羽があったなら・・・




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「美羽!」


香苗ちゃんと佐藤くんと正門に向かうと

今にも飛びついてきそうな勢いの太一がいた。


「太一、お昼は紹介できなかったんだけど

香苗ちゃんと佐藤くん。

今日は太一、佐藤くんの家に泊めてもらえるから」


私の落ち着いたトーンに

太一の興奮も少しはおさまったみたい。


「あ・・・佐久間太一です。

美羽とは幼なじみで、3月まで同じ中学でした。

佐藤くん、今日はお世話になります!」


さすが元野球部。


礼儀正しく帽子まで脱いで佐藤くんに頭を下げてる。


「俺んちは全然大丈夫だよ。

何より悠希が喜ぶし。

それに、頭上げて。和希って呼んで」


「じゃ、じゃあ、俺のことも太一って」


「うん、呼ぶ」


さすが佐藤くん。


すぐに太一の緊張を解いてる。