「あー、どうしよう」
部活終了後、香苗ちゃんに手伝ってもらって
片付けをしている私は太一のことで悩み中。
5年生の先輩がいないパーカッションは
6年生の先輩が補習授業や模試でいないと
中学生が帰ってからは私だけになる。
「太一くんのこと?」
「うん。家に連れて帰る訳にはいかないんだよね」
お母さん、太一には良い顔すると思う。
だけど、太一はお母さんの本性知ってるし
後から色々あるのが面倒くさい。
「幼なじみなんでしょ?
事情説明したら大丈夫なんじゃないの?」
うん、普通だったらそうだよね。
でも、うちは違う。
「お母さん、お兄ちゃんのことしか好きじゃないから。
私が部活に入れたのも、お兄ちゃんが喜ぶって
お父さんが説得してくれたからなんだよね」
「そうなんだ・・・」
香苗ちゃんは当然“理解できない”
って顔をしている。
今回はお父さんが帰らないうちの帰宅になるし・・・。
「一応、お父さんに相談するのは?」
「うーん・・・そうだよね。
でも、今回のはさすがにちょっと」
「そっか・・・あ、じゃあ!
和希に相談してみよっか。
寝る場所だけでも提供してもらえないかどうか」