太一って昔から泣き虫だったっけ。
クリクリの瞳から涙があふれてる。
私はすっかりおさまったけど。
「まだ」
「お金は?」
「少しは、ある」
「駅から歩いてきたならコンビニあったでしょ?
イートインスペースあるから、そこで待ってて。
6時に部活終わるから、その時またおいで」
力なく頷いた太一を見て
私はやっと少し口角を上げた。
「叩いてごめん。びっくりしたの。
でも、太一に会えたのは嬉しいよ」
「美羽・・・ごめん」
「うん、分かったから。
コンビニの店員さんに迷惑かけないでよ?」
私の言葉に元の調子を取り戻した太一は
“かけねぇし!”って走って行った。