もしも羽があったなら・・・




香苗ちゃんに腕を引かれるままに

生まれて初めて上靴のまま外に出た。


こっちに来てから初めてのことが多い。


「あ、美羽!」


確かに。


正門にもたれて立っている坊主頭は、太一。


「やっと会え」


「何やってんの!」


私の声と同時に“パシッ”という音が響いた。


私が太一の頬を叩いた音だ。


太一が目を丸くしてるけど、私も驚いてる。


「美羽・・・」


「太一・・・何で・・・」


「美羽に会いたかったから」


太一の目には涙がたまってる。


だけど、私も視界がぼやけてる。


そっか、こんなにも会いたかったんだ。


「・・・ごめん。

でも、学校も部活もさぼる訳にはいかないの。

お昼は?」