「ただいまー」
玄関で靴を脱いで居間をのぞくと、お母さんはお昼のドラマを見ていた。
この様子だと、多分もうお昼ご飯は食べ終わってるな。
私の分、残してくれてると良いんだけど。
「あ、おかえり。
今日はね、お母さん頑張ってお昼作ったのよ。
台所に置いてあるから、いっぱい食べてね」
朝とは違う普通の声。
「うん、ありがとう」
声のトーンでメニューが想像できてしまう私ってすごい。
エスパーだったりして。
「あ、いい匂い・・・」
先にお母さんが食べ終わってはいても、
そんなに時間は経っていないからほぼできたて。
私のじゃなくてお兄ちゃんの大好物が
テーブルの上にたくさん並べられていた。
たまごとハムのサンドイッチ、から揚げ、
ポテトサラダにコーンスープ。
それからコロッケまである。
私が家を出てから帰るまでに、よくこれだけ作れたよね。
私のためじゃないから作れたのかもしれないけど。