「あ、ちょっと橘くん
そこ私の席なんですけどー」
香苗ちゃんが来て、橘くんを追い払ってる。
後ろでは佐藤くんがクラスの男子と話してて
日常が戻って来たって実感させられる。
「あ、そうだ。
昨日、幼なじみと電話できた?」
橘くんを追い払うことに成功した香苗ちゃんは
鞄を机の横にかけると私と向かい合う。
「あ、うん、できたよ。
でも・・・どうすれば良いのか分かんない」
「え、ちょっと、どういうこと?」
机に突っ伏した私に降って来るのは
焦ったような香苗ちゃんの声。
私に分からないことが香苗ちゃんに
分かるはずがないのに、こんな態度駄目だよね。
「ごめん・・・」
今度は勢いよく顔を上げると
“心臓に悪いよ”と言われた。
「良いけど、今日のお昼は2人で食べよ?」
“ね?”と私をなだめるように言って
香苗ちゃんは私の頭を優しくなでた。