香苗ちゃんの部屋に来てから

少しの間忘れてた太一のことを思い出した。


「香苗ちゃん、ごめん。

連絡来てたから返しても良い?」


友達と一緒にいるのにスマホを触るのは

嫌だから一応断る。


「もちろん!

気を遣わずにいてくれて良いんだからね」


香苗ちゃんは笑顔で言って

“私も和希から連絡来てたから返さなきゃだし”

って付け加えた。


そう言ってもらえると気が楽。


私は佐藤くんの家から出てすぐに

お母さんから届いていたメッセージを開いて

“ありがとう”とだけ返信した。


それから太一の電話番号を連絡帳に登録。


すぐにラインに太一の名前が表示された。


『太一、久しぶりだね。村上美羽です。

今日、うちに電話くれたんでしょ?

お母さんから聞きました』


言葉を選びながら文章を考えて送信する。


すぐに既読がついたのを見て

“やっぱり何かあったのかな”

って不安が少し大きくなる。


『美羽、久しぶり。

こっちこそ連絡ありがとう。

あのさ、近い内に電話できる時ない?』


やっぱり、私と電話したかったんだ。


だから今日電話くれたのに、悪いことしちゃったな。


『ううん!

太一からの連絡嬉しかったよ。

今日は友達の家にお泊りしてるから

難しいけど、明日の夕方とかなら!』