「えー、美羽もう帰っちゃうの?」
「こら悠希!美羽ちゃんだろ?」
「だってぇ・・・」
夕食後の玄関。
目の前では悠希くんと佐藤くんのやり取り。
夕食は私も香苗ちゃんも岡田くんも
佐藤くんの家でごちそうになった。
そろそろ帰ろうって話になって
みんなで玄関まで来たときに
悠希くんが私の腕をつかんで動かなくなった。
「だってじゃなくて・・・。
ほら、美羽ちゃんだって困るだろ?
香苗、村上と岡田連れて出て良いよ」
「分かった。じゃあ、またね」
香苗ちゃんの言葉を合図に
佐藤くんが無理やり悠希くんを私から離して
私は香苗ちゃんに引かれて外に出た。
大丈夫かな?
「悠希なら大丈夫だよ。
私が行ってもいつもあんな感じなの。
男兄弟だけで育ったから
お姉ちゃんに憧れがあるのかもね」