言ってしまって、はっとなる。
この感覚2回目だ。
「お兄さんって、前に言ってた双子の？」
ほら、やっぱりそうなるよね。
「うん」
「ごめん、言いたくなかったら良いんだけど
村上のお兄さんは違う高校に通ってるの？
わざわざ村上だけが中高一貫校に
来る必要あったのかなって思って･･･」
そっか、そうだよね。
客観的に考えればそうなるよね。
香苗ちゃんや翼先輩がまだ何もきいて来ないのは
私がお兄ちゃんと“双子”だって話してないから。
「あ、ごめん。言いたくな」
「もう、いないから」
言っちゃった。
「え？」
「お兄ちゃん、3年前に死んじゃってるの」
私と岡田くんの間に沈黙が訪れる。
別に隠そうとしてた訳じゃない。
ただ、言い方が分からなかっただけ。
いつかは言わないといけなかったから。
