「そんなにお腹空いてたの?」


岡田くんは少し笑いながら私の手から

ラップを取り上げた。


ちょっと恥ずかしいかも。


「空いてたのかも。

食欲なくて少ししか食べて来なかったから」


「だからそんなに細いんだ。

あ、そういえば、佐藤と三井に連絡した?

1本遅いので行くって」


「あ、うん。

電車降りる前にしておいたよ」


香苗ちゃんから“了解!ありがとう”

って返信が来たから大丈夫なはず。


「サンキュ。

村上って意外としっかりしてるよね」


岡田くんは背もたれに背中を預けて

私のことを見下ろしてる。


“しっかりしてる”か。


そんなこと初めて言われたかも。


「・・・どうした?」


今度は黙ってる私を心配したのか

顔をのぞきこんできた。


「あ、ううん。

そんなこと初めて言われたなあって思って。

しっかりしてるのは、いつもお兄ちゃんだったから」