もしも羽があったなら・・・




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「村上、こっち!」


改札を抜けるとすぐに岡田くんが声をかけてくれた。


「おはよう」


「おはよう。あ、隣座る?」


鞄をのけて私が座るスペースを作ってくれた。


もしかして、私が座る場所を確保してくれてたのかな。


「朝ご飯食べて来た?」


「え?うん」


朝から、お兄ちゃんのための食事をしてきた。


食欲なくて少ししか食べれなかったけど。


「そっか・・・。

もし良かったら食べないかなと思ったんだけど」


そう言って鞄から取り出されたのは

たまごとハムのサンドイッチ。


お兄ちゃんの好物でもあるけど、

私の好物でもある唯一のもの。


「朝ご飯にって姉ちゃんが作ってくれたんだけど

ちょっとだけ残っちゃったから」


「・・・食べる」


「どうぞ」


ラップにくるまれたサンドイッチを受け取って

口に運ぶ。


うちのとは少し違う味。


でも、すごく美味しい。


食欲はなかったはずなのに、

あっという間に食べてしまった。