「ありがとう。

まぁ、話そうって私から言った割には

特に話題もないんだけど・・・あ」


香苗ちゃんは何かを思いついたように

大きい目を更に大きくした。


「美羽ちゃんって兄弟いる?」


「えー、もっとすごい話かと思った。

兄弟かぁ・・・いるにはいるけど・・・」


“もう亡くなってる”とは言えない。


別に言っても良かったんだけど

今の香苗ちゃんにそれを言うのは違う気がした。


「そうなんだぁ。

あ、お兄ちゃんかお姉ちゃんでしょ」


「当たり。お兄ちゃんだよ」


香苗ちゃんは“お兄ちゃんかぁ、良いなぁ”

って憧れてるような表情をした。


「香苗ちゃんは?」


「私はね、妹。

今中3なんだけど、来年東に来るって言ってる」


「え、そうなの?会ってみたい」


私は勝手に頭の中で香苗ちゃんの妹をイメージする。


きっと、すごく可愛いんだろうなぁ。


「いやいや、美羽ちゃんには会わせられないよ。

うちの妹やんちゃだから刺激が強すぎる」


やんちゃって・・・おてんばってこと?


それはなおさら興味がわくんだけど。