「美羽ちゃん、ちょっと話せる?」
宿泊研修1日目ももうすぐ終わり。
夕食後の自由時間、3組の3班と一緒に使ってる
部屋でぼーっとしてたら香苗ちゃんに呼ばれた。
やって来たのは宿泊施設のフリースペース。
他にも誰かいるかと思ったけど、誰もいなかった。
「昨夜は先輩とちゃんと話せた?」
多分、香苗ちゃんも自分の話があるんだと思う。
だけど、まず私のことを気にかけてくれる。
「うん、本当にありがとう。
あの・・・私が怒らせちゃった訳ではなかったみたい。
でも、宿泊研修が終わったら話があるって言われた」
翼先輩との電話を思い出しながら言った。
今、寝室にある鞄の中にあるスマホ。
その中には、一昨日まではなかった翼先輩の電話番号がある。
「そっか。しあさってまでドキドキじゃん」
「まぁね。あ、それで・・・香苗ちゃんの話って?」
話題を変えると一瞬、香苗ちゃんの顔が強張った。
気のせいかもしれないけど、私には確かにそう見えた。