もしも羽があったなら・・・




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チャイムが鳴ってHRの時間が始まった。


みんなどことなくソワソワしてるけど、

それは私も同じこと。


多分だけど、みんなよりもソワソワしてるんじゃないかな。


佐藤くんからお願いされちゃってるもんね。


「男女合わせて4人の班を10個作ってください。

できた班からみんなで固まって座ってね」


矢野先生の説明が終わり、班作りがスタートした。


「美羽ちゃん」


「女子はもう決まりだね。あとは男子だけど・・・」


私は後ろを振り返った香苗ちゃんに言って

そっと佐藤くんの姿を探す。


佐藤くんもペアの男子は確保できたみたい。


「佐藤くんにお願いしてみる?」


「え?」


思いがけない香苗ちゃんの言葉に

いつもより少しだけ高い声が出てしまった。


「美羽ちゃん、慣れない男子だと緊張するでしょ?

私も佐藤くんだったら中学から知ってて楽だし」


「良いの?」


「うん、もちろん。

そうと決まれば、ほら、行くよ」


初日に“清楚”ってイメージを抱いた香苗ちゃんは

私が思っていた何倍も思い切りがある子だったんだ。