“日に日に温かくなる今日この頃・・・”
少し硬い文章で書かれた文章を目で追っていく。
私もこれに似た文章を読むんだ。
今まで15年間、とにかく目立たないように過ごしてきたのに
まさか高校入学を機にこんなことになるなんて・・・。
決まったことは仕方ないけど、
最後までちゃんとやり遂げられるかが心配。
“・・・編入生代表、山本翼”
「あ・・・」
最後まで読んで、思わず声を出してしまった。
「どうかした?」
「あ、いえ。大丈夫です」
“大丈夫です”なんて真っ赤な嘘。
だって今、私の心臓はバクバクいって痛いくらい。
でも、私が今やるべきなのは、
先生と一緒に編入生挨拶を考えること。
さっき目に留まった部分は、今は考えないようにしなきゃ。
「じゃあ、ちょっと自分なりに考えてみようか。
大体はこれと一緒で大丈夫だから。
はい、これに書いてみてね」
「ありがとうございます」
原稿用紙を渡されたからお礼を言って、
鞄から筆箱を取り出した。
よし、頑張ろう。