「おはよ、美羽ちゃん」
入学して1週間が経った。
制服のブレザーにも電車通学にも
この町にも少しずつ慣れてきている。
「おはようございます、翼先輩」
そして、毎日、駅のホームで学校で部活で
色んな所で会う先輩にも慣れてきた。
「そろそろあれでしょ。
宿泊研修の班とか決める頃じゃない?」
先輩は、両耳に入れてたイヤホンを外し、
鞄の中に片付けながら言った。
先輩っていつもどんな音楽聴いてるんだろ。
「そういえば、今日決めるって言ってました」
昨日の矢野先生の言葉を思い出しながら言った。
“明日のHRでは宿泊研修の班決めをします。
なるべく好きな人同士で作りたいと思ってるので
なんとなく頭の中で考えておいてください”
「やっぱりね。あーあ、残念。
俺も美羽ちゃんと同い年だったら良かったのに」
「え?何でですか?」
“1番のりばに下り列車が・・・”
アナウンスを聞きながら先輩に質問する。
「・・・・・・じゃん」
「え?」
だけど、電車の音に負けて先輩の声は聞こえなかった。
その後先輩は普通の顔して電車に乗ってたから
気にしなくても大丈夫ってことなのかな。