お父さんが明日からいないってことは、今日がチャンス。
私は夕飯の時に部活のことを打ち明けることにした。
「美羽、ご飯できたって」
夕飯までは部屋で勉強をするのが日課。
私はお兄ちゃんになれないから
せめて成績だけでも良くしようと始めたこと。
中2くらいから、なんとか上位をキープできるようになった。
「いただきます」
食卓に並ぶのは、お兄ちゃんの好物ばかり。
お母さんは多分、私の好物を知らない。
「あの、相談があるんだけど」
「どうした?」
お父さんは優しく言って
お母さんは一瞬鋭い目をした。
時期が時期だし、内容の予想がついたんだと思う。
「高校でも吹奏楽続けたら駄目?」
俯いた顔が上げられない。
上げたらきっと、まずお父さんと目が合う。
優しい瞳を見てしまうと、私の心は弱くなる。



