“はい、どうぞ”って私たち4人に

“新入部員募集!”と書かれたチラシを渡して

足早に去ってしまった先輩。


「あの・・・」


私がようやく声を出した時には

もう姿さえも見えない状態だった。


「ね、あの先輩って、入学式の日

図書館の前で受付してた先輩だよね?」


「あ、そっか!

どっかで見たことあると思ったんだ」


教室に戻りながら香苗ちゃんと佐藤くんが盛り上がってる。


同じ中学出身だから話しやすいんだろうな。


それにしても、先輩、吹部なんだ。


「村上さん、大丈夫?」


隣を歩いてる岡田くんは小さな声で

本当に心配そうにそう言った。


「あ、うん。大丈夫だよ。

さっきの先輩、嵐みたいだったなぁって思って」


賑やかに来て賑やかに去って行ったから。


そういえば、今朝も賑やかだったなぁ。


「確かに。でも、良い人そうだよね」


「うん」


優しい顔で言ってくれた岡田くんに

私も笑顔で返した。