「美羽」
ジャリって砂を踏みつける音と同時に
太一の声が上から降って来た。
顔を上げなくても分かる。
太一に会えて、涙が出るほど嬉しい。
「美羽?」
なかなか顔を上げない私を不思議に
思ってるんだろうな。
だけど、今顔上げたら・・・。
「何で泣いてるの」
ばれちゃった。
私が涙を拭うより先に、太一が
しゃがみこんで私の顔を覗き込んだから。
「泣いてない」
「そっか、ごめん」
そういうと太一は私の頭に手を置いた。
この手、好きだなあ。
「私も、ごめんね」
下を向いたまま涙を拭い、太一に謝る。
昨日図書館から逃げ出したこと。
せっかく学校まで会いに来てくれたのに
思いっきりぶってしまったこと。
最後の夜なのに、太一の家に泊まらなかったこと。
素直になれなかったこと。



