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「あ、昨日挨拶してた子だ」


朝、少し早く駅に着いてホームに立っていると

いきなり顔をのぞきこまれた。


「え・・・」


危うく後ろにひっくり返るところだったけど

何とか両足で踏ん張って声を出すだけにとどめた。


「あ、ごめんごめん。

あのさ、ここに並んでると向こうで電車降りる時

改札遠くて困るからこっちに並ぼ」


同じ学校の人、なんだと思う。


うちの学校の制服はブレザーで

女子も男子も基本的なデザインは同じだから。


でも、同級生か先輩か、何者なのか。


断る間もなく腕を引かれ、いくつか隣の列に連れて来られた。


「いきなりごめんね。

俺、東校5年、生徒会副会長の山本翼です」


「・・・え」


「あ、因みに昨日、図書館前で

編入生の受付をしてたのも俺です」


会えた。


やっぱり、そうだったんだ。


「名前は確か・・・村上美羽ちゃん。

合ってる?」


少し不安そうにきく先輩に

私はただただ頷くことしかできない。


ただでさえ人見知りでこういう状況に弱いのに

一昨日から気になってた名前の人と会えるなんて。


頭の中がいっぱい過ぎてパンクしそう。