「もしかして、太一?」


聡子が出してくれたジュースを一口飲んだら

遥が少し聞きにくそうに言った。


「・・・うん。

太一、好きな人いるんだって」


さっき気付いたばかりの自分の気持ち。


私は太一が好きだ。


気付いた途端にどんどん膨らんで

自分でもどうすれば良いのか分からない。


「ってことはさ、やっと気付いたんだ?」


「え?」


聡子が優しい顔で私を見てる。


「自分の気持ち。

私と遥はずっと知ってたよ、美羽の気持ち」


私自身が気付いていなかった私の気持ちに

聡子と遥は気付いてたの?


何それ、すごい。


「小学生の頃から、美羽は太一ばっか見てた。

翼がやきもちやいてさ、私にこぼしてたよ」


え・・・お兄ちゃんまで知ってたんだ。


今さら恥ずかしい。