桜ときみと

そこから日野に逃げて私は、兄上と出会った。

瞳の奥に焼きついたあの感覚。

兄さんは生きているだろうか。

父さんは私を恨んで死んでいったのだろうか。

せめて今、隣で笑ってくれるこの人だけは、もう失いたくない。

大切なものができるたびに怖かった。

失うのではないか、私を恐れられるのではないか。

兄さま、私は今もずっと一緒に生きていいのかな。